自分が会社へ勤め始めて数年経った頃の事です。
当時、父と同居していたのですが、その父は会社を定年退職する事になりました。
普段、お互い忙しかったので、会話をする事など週に1〜2回といった程度で、ほとんど同居している感じもしなかったのですが、さすがに退職の時は父も早く家へ帰り、いろいろ話しをしていました。
すると珍しい事を言い始めたのです。
「長年仕事ばかりでろくに家族サービスもできなかったから、退職ついでにおまえにカバンをプレゼントしてやる。このカタログから好きなもんを選んでおけ。どんなに(値段が)高くてもかわまん。」
これにはびっくりでした。
そんなに無理しなくても、といいましたが、意地もあったのでしょう、「遠慮するな!」「いいやつを選べ!」としつこいのです。
そこまで言われたからにはと、かなり遅い時間までカタログとにらめっこして、なかなか良さそうな十数万円するビジネスバッグをチョイスしておきました。
そして翌朝。
「あーあれな、実はもうこっちでいいのを選んでおいたから心配せんでいい。」というのです。
どういう神経してそんな事をいうのかとも思いましたが、まぁプレゼントされる側が文句いうのもどうかと思って放っておきました。
数日後、父から送られたバッグは、自分の好みの色と全然違う3万くらいのバッグでした。
20年以上、ほとんど無傷で今も持っていますが、要するにあまり使う機会が無かったわけですね。
かっこいい事を先に言うのは厳につつしむべし、といういい教訓になりました。

