失踪中の父からの、突然のプレゼント

子供へのプレゼント

私は物心つく前から母子家庭で、中学生に上がるまでは写真でしか父の顔を知りませんでした。

しかし私が中学生になった頃、母が偶然町で父と再開し、たまに一緒に外食するようになりました。
再開した当初、当たり前ですが父は写真で見るよりもグッと大人の男性になっていて、飲食店の経営をしていました。

私にとって「父」という感覚よりも、「かっこいいお兄さん」のようなナンパな風貌でした。
中学校の入学式にも来てくれて、とても嬉しかったことを覚えています。

それから4年程経ち、私は高校生になりました。
ある日、ふと最近父に会っていないことに気付き「最近、お父さんとご飯行かないね、元気にしてる?」

と聞いてみました。

すると母が「お父さんね、失踪したのよ。」と、何でもないことのように言ったのです。

どうやら事業に失敗し、借金が返せなくなって蒸発したようでした。
私はようやく再開できた父にもう会えない悲しみで、しばらく落ち込んだことを覚えています。

その後、私は18歳で家を出て一人暮らしをしていたのですが、その日、成人式という事で地元に帰りました。

「20歳までは禁止」

と言われていたピアスをその時初めて母に開けてもらい、母の友人の振袖で成人式に出席しました。

そのわずか1週間後です。

何年も音信不通だった父から私宛に贈り物と電話が来たそうなのです。
実家を離れている私には電話に出ることができませんでしたが電話の内容は「そろそろ○○が二十歳になった頃だろう?ピアスはもう開けているのか?似合いそうなピアスを見つけて、贈ったので○○に渡しておいてほしい」でした。

この知らせを聞いた時、私はとても驚きました。
私がピアスの穴を開けたのはつい1週間前の事で、父が知るはずもないのですから。

もう父が失踪して10余年。
相変わらず父とは全く音信不通の失踪状態ですが、今私の耳を飾っているピアスは間違いなく父が贈ってくれたものです。

どんな友人や男性からのプレゼントよりも思い入れのある、私の中で一番大切なプレゼントです。