旅立つ友人に絵本をプレゼントしたお話

男友達へのプレゼント

地元の友人が東京の大学に合格し、上京することになった。

高校生の頃からの付き合いだが、彼には若干変わったところがあった。
絵本作家かミュージシャンになりたいという夢を持っていたのだ。

どっちだよと常々突っ込んではいたが、どうやら本気だったらしい。
メルヘンな気質があった彼には音楽業界の荒波にもまれて生きるよりかは、絵本作家の方が向いていると思って、上京数日前に近所の書店から安価な絵本を適当に見繕ってプレゼントした。

かなり前の話なのでその時の詳細はほとんど憶えていないが、たしか谷川俊太郎の本だったと思う。

水彩の挿絵が印象的な本だった。
「ふろふき大根が好きで…」というフレーズがやけに頭に残っている。

後日友人と電話で話していると「旅立つ友人に手向けるには似つかわしくない話」だったと
笑いながら話してくれた。
なんでも恋人と死に別れる内容だったという。これは参った。

だが、友人から夢に関連するプレゼントを貰ったのは初めてだったととても嬉しそうだった。

あまり考えずに渡してしまったが、気に入ってもらったようで、今でも自宅の本棚に置かれているそうだ。