私が二十歳を過ぎてからの話です。
分け合って父と母は別居していましたが、それ程深刻な別居でなかった為、父は良く家に来ていました。
そんなクリスマスのある日、クリスマス用のビニールでできた巾着袋のような物から、犬のぬいぐるみの頭だけを出して、肩から下げてまるでサンタの様にやってきました。
昔からユーモアのセンスの良かった父らしい、プレゼントの仕方でした。
20歳を過ぎた娘に、「ぬいぐるみ」とも思いましたが、小さい時からぬいぐるみが好きな私の事を、まだ小さい頃の様な感覚で居るんだろうなと思いましたが、とても嬉しかったです。
そのプレゼントが、父から貰う最後のプレゼントとなってしまいました。
それから時期に父は脳腫瘍になり、脳の半分を除去したせいで子供の様になりました。
病気をしてからは母と一緒に介護していましたが、残念ながら他界してしまいました。
しかし今でも父から貰ったぬいぐるみを見ると、あの時の事が鮮明に蘇ります。
最後のプレゼントになってしまったぬいぐるみが、父の形見のように思えてなりません。

